長期観察からわかった高緯度サンゴ群集域におけるミドリイシ類の複雑な産卵パターン
目崎 拓真(黒潮生物研究所)
四国西南海域における有藻性イシサンゴ類(以下サンゴ)の産卵パターンを明らかにするため、2005-2016年の6〜8月頃にかけて可能な限り毎晩のように潜水調査を行い、サンゴの産卵日、時刻、産卵状況などを記録してきた。今回はサンゴの中で最も繁栄したミドリイシ類の産卵パターンについて報告する。調査の結果、四国西南海域のミドリイシ類は下弦から新月頃にかけての産卵が多かったが、その他に満月や上弦頃などほとんどの月相で産卵することがわかった。通説としてサンゴは「満月の大潮に一斉に産卵する」と広まっているが、四国西南部のミドリイシ類の産卵パターンは通説より複雑であることが明らかになった。