戸篠 祥 TOSHINO, Sho

宿毛湾沿岸におけるクラゲ類の季節的消長

戸篠 祥(黒潮生物研究所

 クラゲ相に関する調査は日本各地で行われてきたが、四国における研究報告は少なく、特に高知県沿岸ではいつ、どのようなクラゲ類がみられるのかほとんどわかっていない。そこで本研究では四国西南部の代表的な湾である宿毛湾においてクラゲ類の採集調査を行い、クラゲ相や季節的消長を明らかにした。宿毛湾の湾口、湾中央、湾奥に採集定点を5か所設け、2015年5月から2016年4月にかけて月に1回調査を行った。その結果、刺胞動物門58種、有櫛動物門5種、合計63種のクラゲ類が採集された。最も多くの種数が見られたのは8月(33種)、最も少なかったのは5月(11種)であった。暖流性の種が多く、中には日本初記録種あるいは未記載種と思われるものもみられた。宿毛湾は黒潮と豊後水道の水が混じり合うため、暖流性、沿岸性、外洋性の種がみられるクラゲ相豊かな海域である。

戸篠 祥 TOSHINO, Sho, Ph.D

黒潮生物研究所 研究員 水産学博士

大分県佐伯市出身。猛毒をもつことで知られる立方クラゲ類の分類と生活史、生態についての研究を専門としている。現在は宿毛湾を中心とした四国西南部のクラゲ相について研究を行っている。北里大学大学院水産学研究科修了。