林 秋美 HAYASHI, Akimi

ロードキル問題

林 秋美(四万十高校)

 ロードキルとは、人間を含む交通事故死のことです。本研究では、対象を野生の哺乳類としました。ロードキルは野生動物が車道を横断する際に起こります。そこで、野生動物が道路下の水路(山から出る沢水を排水するためのもの)を利用できればロードキルを減らすことができるのではないかと考え、調査を行うことにしました。調査範囲は、四万十町大正・四万十高校前~北ノ川の国道381号線沿いとしました。水路の調査を行うと、水路は32本あり、様々な形があることがわかりましたが、そのまま野生動物が利用できそうな水路は1つしかありませんでした。また、ロードキルの発生件数を調べてみると、平成28年4月-10月の間で19件の事故があり、動物種別でみるとタヌキが最も多いことがわかりました。ロードキルは、一般的にはスピードが出る直線の道路や見通しの悪い急カーブの出口で多いそうですが、R381では水路の近くで事故が多いことがわかりました。そこで、実際に動物が本当に水路を利用するのかを確かめるために、2本の水路に自動撮影カメラを設置してみました。その結果、2本の水路で合計134回動物が映っていました(3月7日-5月14日)。映った動物は、タヌキ、ハクビシン、イタチ、ノウサギ、シカでした。水路の回りをうろうろしたり、確実に水路を通って移動したりする様子が記録されていました。このうち、動物によって足が水に濡れても平気な種類と、そうでない種類など、水路の利用の仕方に違いがあることがわかりました。この研究を通して、多くの動物が水路の周りで生活をしていることがわかりました。同時に、水路を移動経路として利用してもらうには適した水路が少なすぎること、足が濡れないような工夫(石をくむなど)が必要なこともわかりました。