井上 光也 INOUE, Mitsuya

源流域における流程にそった底生生物の変化

井上 光也(高知大学大学院)

 川に住む底生動物のほとんどは水生の昆虫である。彼らを使って仁淀川の支流と比較しながら四万十川の支流である黒尊川源流域の特徴を調べた。まず水質を比べると川の生き物の食べ物や肥料になるものは、仁淀川に比べると黒尊川のほうが多かった。川に住む虫の重さ(g/m2)や種類の数(科の数)で比べても仁淀川より大きい値を示した。特に黒尊川は川の流れ始めるような場所でも大きな川の虫(トウゴウカワゲラ)が住んでいた。今回の結果からは黒尊川が仁淀川と比べて豊かだといえる。今回の結果を含めて、黒尊川は不思議な川だった。四万十川との合流地点に近い場所で、川の虫がたくさん住みそうな瀬があってもほとんど川の虫は見つからない。源流域には虫がたくさんいたのに、なぜ四万十川近くになると虫がいなくなってしまうのか。さらに今回、黒尊川にだけみられた種類の虫もいた。とてもおもしろい川である。今後とも調べていきたい。

井上 光也 INOUE, Mitsuya

高知大学大学院 理論生物学研究室

 高校時代に川にいる虫に引かれて高知大学理学部へ入学。卒業研究で仁淀川源流に生息する川の虫について研究した。大学院へ進学しても黒尊川と仁淀川(小川川)の源流に生息する川の虫を対象として研究している。