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うみはた活動報告 PL: 中地シュウ(撮影:笹島 康仁)
うみはた 第1回活動報告
うみはた(幡多海岸生物多様性調査)の記念すべき第1回活動を10月17日土曜日に大月町にて行いました。あいにくの天気でしたが、下は8歳、上は60ウン歳まで13名が参加し、にぎやかな活動になりました。
まずは大月町周防形の会場で決起集会と調査写真の撮影法についての勉強会。そのあと道の駅おおつきに行き、お惣菜と弁当で腹ごしらえをしてから、いよいよフィールド調査へ。雨が強くなってきたので、柏島・沖ノ島を一望できる一切の展望台を起点に、安満地、橘浦、泊浦を経て竜ヶ迫、芳ノ澤に至る海岸線をゆっくりとドライブし、大月町西岸の海岸環境と浜の分布を確認していきました。
海岸生物調査は芳ノ澤にある白浜で行いました。この浜は美しい砂浜なのですが、一部には岩場もある海岸生物的に「おいしい」場所です。打ち上げ貝を拾ったり、潮だまりをのぞき込んでエビやハゼをすくったり、石の下にいる二枚貝類を掘ったり、岩の隙間に隠れている大きなカニを追い立てたり、腰まで海につかって流れ藻をすくったりと、思い思いに生き物を探し、写真に撮り、採集しました。
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うみはた活動報告(撮影:笹島 康仁)
この浜の岩場まわりでは、高知県西部の外洋的な岩礁性海岸の潮間帯でよくみられる底生生物が確認されたほか、ケマンガイ(準絶滅危惧種:環境省)やカヤノミカニモリ(準絶滅危惧種:環境省)などといったやや内湾性な場所に生息する生き物も見られました。カヤノミカニモリは岩場のあちこちに両手ですくえるような大集団を作っていました。岩陰には立派なハサミを持ったイボイワオオギガニが何匹かいました。
砂浜部分では波乗り貝として知られるナミノコガイ(準絶滅危惧種:環境省)が少数確認されたほか、スナガニのものと思われる穴がいくつも見られました。また、コアマモ(準絶滅危惧種:高知県)が地下茎ごとたくさん浜に打ちあげられていました。流れ藻のように海面を漂っていたコアマモからはシロブチハタと思われる幼魚が得られました。
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うみはた活動報告(撮影:笹島 康仁)
植生帯にはハマゴウ、ハマヒルガオ、ハマエンドウ、コウボウムギと思われるカヤツリグサの仲間などの海岸植物が群落を作っていました。また、コマツヨイグサやママコノシリヌグイなどの植物も群生していました。食用にもなるハマボウフウもありました。砂の上に正体不明のキノコ(スナジホウライタケでした!)がたくさん生えていたり、大きなトノサマバッタが何匹もみられたのが面白かったです。
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うみはた活動報告(撮影:笹島 康仁)
海岸調査を終え、ワークショップ会場に戻ってからみんなが撮影した写真を集めて記録されている生物を見ていきました。精査の結果、動物が5門9綱15目29科33属33種、植物が1門2綱10目10科10属10種、合わせて6門11綱25目39科43属43種が記録されていました。雨を気にしながらの調査だったのでまだまだ見落としもたくさんあるとは思いますが、まずまずの数の海岸生物を記録することができたのではないでしょうか。このリストについては後ほど別にアップしたいと思います。一部は標本にしたので今後の調査の時に役立つと思います。ワークショップ会場に戻ってからは標本写真の撮影法についてレクチャーを行い、実際に採集したウミウシ(コノハミドリガイ)の標本写真を撮影などを行いました。
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うみはた活動報告(撮影:笹島 康仁)
その後の懇親会ではマグロステーキ、ブリしゃぶ、ハガツオの洋風たたき、特製グリーンカレー、特製パウンドケーキなど、おいしいものを囲んで遅くまで話がはずみました。グリーンカレーが美味しすぎて小皿で六杯ぐらい食べてしましました。
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うみはた活動報告(撮影:笹島 康仁)
今後もこのような調査を重ねて幡多の海辺の環境と生き物を広くくわしく記録していきたいと思います。なお、ワークショップについては「こんなことが知りたい」「こんなことを勉強したい」という要望にあわせて随時開催していくのでぜひリクエストください。
(研究会はたのおと/海辺の自然史研究舎 中地シュウ)