うみはた事前講座

うみはた事前講座その1 PL: 中地シュウ

その1:浜の景観の記録と撮影用カメラの話

うみはたプロジェクトにおける「はまあるき(海岸踏査調査)」の目的の一つは幡多地域の海岸景観のモデル化です。その基礎資料を得るために「それぞれの浜の景観をデジタル写真で記録する」という作業を行います。

うつくしい海辺の風景を思い思いのやり方で撮影していくというのも楽しいのですが、今回はあくまで「調査」です。科学的な記録なので、そこにかっちょいい芸術的センスや迸るエモーションは必要ございません。科学的・合理的・客観的に処理できる情報が読み取れる景観写真を撮影します。

そこで篠原(1993)による景観把握モデルを参考に、①視点、②視点場、③主対象(視対象)、④副対象(視対象)、⑤対象場というものを意識して写真撮影を行います。簡単にいえば、どこから、どっちをむいて、どの範囲を画面におさめれば、その浜の様子を一番わかりやすく伝えられるのか?ということを考えて写真を撮るということです。地形、堆積物、植生、土地利用、周辺の人工物などといった景観を構成する要素がきちんと記録されるように留意します。(この記事につけたような写真はペケです)

なお、景観の記録に使うカメラは何でも構いませんが、レンズについては基本的に35mm換算で、28mmの焦点距離のものを使用します。28mmレンズの画角(写真に写る範囲)はおおよそ水平60°、垂直46°であり、人間の視野角(60°)に近いと考えられているからです。これを視野60°コーン説といいます。ズームレンズなら換算28mmのところを使えばOKです。どうしてもおさまりきれなければ、パノラマなどで撮影することもあります。

本調査に参加する方は、各自持ってきていただくカメラとレンズの画角を確認してみてください。なお別にまた解説しますが出現した生物を記録する際には50~100mmぐらいのレンズを使います(マクロレンズ推奨)。

今月17日に行う海岸調査&ワークショップではそこら辺の話も詳しく解説してから調査に行くので「カメラはぜんぜんわからん!」という人も大丈夫です。また、記録写真を撮影する練習も実地で行います。当日貸出できるものもありますので調査に使えるカメラをお持ちでない方は気軽に声掛けしてください。

(研究会はたのおと/海辺の自然史研究舎 中地 シュウ)