その2:標本写真の役割について
生物調査では種同定や比較に用いたり、証拠や記録資料として残すために、採集した生物の体を腐敗や変質しないように薬品で固定し、長期間保存します。これがいわゆる「生物標本」です。
生物標本では生き物の「すがた・かたち=形態」は比較的うまく保存することができますが、体の色や模様などは固定や保存の過程でほとんどの場合、大きく失われてしまいます。
そのため、固定処理をする前の生鮮時に「標本写真」を撮影し、その生き物の生時の状態、特に重要な形質である「色彩」をきちんと記録しておくことが重要です。
生き物の形態や色彩、微細なテクスチャまで精緻に写し取った標本写真は、単なる科学的な記録というものを超えて、見るものに自然の驚異や多様性の妙というものを教えてくれます。
来る10月17日のうみはたの活動では野外調査に加えて標本写真撮影法に関するワークショップも開催します。実際に海岸で採集してきた生物を使って標本写真を撮影し、その手法と技術を紹介します。また、内緒にしておきたいコツ、工夫などのTIPSを共有できればと思います。
(研究会はたのおと/海辺の自然史研究舎 中地 シュウ)